MINANOHA相原の鳴海です。
このシリーズでは、ミナノハの子ども達が
日々の中で自然に形づくられた、子ども達の過ごし方そのもの
を紹介してきました。
どれも誰かの
「こんなのあったら楽しい」
「やってみたい」
というささやかな声から、静かに、でも確かに育ってきたものばかりです。
そして今回の最終回では、
その積み重ねのずっと先で生まれた ミナノハ学習グループ のお話をします。
【ミナノハで育つ、“やってみたい”の物語ー4.子ども達の声から生まれた学習グループ】
〇 「ミナノハでなら、できるかもしれない」
学習グループが始まったきっかけは、
子ども達のとても小さな本音でした。
「勉強しなきゃと思うけど、学校はまだ難しい」
「塾も家庭教師も今の自分には合わない気がする」
「でも…ミナノハでなら、できるかもしれない」
この“かもしれない”が、ミナノハではすごく大切です。
学習グループには
誘われて来る子はいません。
自分の意思で「やりたい」と決めた子だけが入ります。
だからこそ、最初の一歩はとても静かで、
けれど本人にとっては大きな意味を持ちます。

〇この場所に来られるようになるまで
「学習グループに参加できるようになるまで、どれくらいかかりますか?」
と聞かれることがあります。
学習に向かうタイミングは、
子ども自身が
“いまならもう大丈夫。できる。やりたい”
と感じられたときにやってきます。
それぞれに長い時間がかかります。
それは、遅いからでも、できないからでもありません。
・ミナノハに来て“戻れる感覚”を取り戻す
・自分の好きや得意に触れ直す
・「やってみたい」を言葉にできるようになる
・仲間と関わる楽しさを知る
・失敗しても戻ってこられる経験を積む
こうした情緒の地層を積む時間が必要なのです。
だから学習グループは、
①安心
②主体性
③仲間との協働
がそろった その先に自然と生まれる姿 です。
〇 自分で選んだ学びは、空気を変える
初めて学習グループを見学した子がよく言います。
「いつものミナノハと雰囲気が全然違う」
「みんな、こんなに集中してるんだ…」
学習グループは誰も「静かにしよう」と言いません。
静けさは、教室のルールではなく、子ども達の意思がつくるもの。
自分のために学ぶ子だけが集まっているから、空気が自然と落ち着いていく。
これが、この場所のいちばんの特徴です。
教材も全員バラバラ。
・学校教材を持参する子
・メンターが作るオリジナルプリントに取り組む子
・今日は質問だけ、という子
“やらされる勉強”ではなく、
“自分の今に合う学び方”を自分で選ぶ ことが中心です。
〇保護者が静かに受け取るもの
見学に来られた保護者は、子ども達の姿を見て
こんなふうに話されます。
「机に向かっているだけなのに、いろんなことを思い出します」
その言葉には、
その子がここに来られるようになるまでの道のりが
静かに詰まっています。
・学校がしんどかった時期
・学習に向き合うのが難しかった頃
・ミナノハで少しずつ安心が育っていった日々
・仲間とのやりとりの中で変わっていった姿
そうした背景を知っているからこそ、
「ただ勉強している」以上の意味が
この風景に自然と重なっていくのだと思います。
🌈おわりに
ミナノハで育ってきた4つの風景は、特別な計画や働きかけからではなく、
子ども達がその日その場で感じた「こうしてみたい」という小さな声と
それを受け止める大人たちの環境づくりから自然に育ったものでした。
少しずつ戻ってきた安心、
対話のリズム、
仲間と笑い合いながら生まれてきた解放感、
そして「ミナノハでならできるかもしれない」と
自分の意思で選びとった学習の時間。
どれも違うようでいて、根っこは同じです。
“自分のペースで、自分のやり方で、世界ともう一度つながっていく”
そのための確かな手触りを取り戻していくプロセス。
ミナノハは、子ども達がその歩幅を見つけ、
自分で「次はどうしようかな」と選べる場所であり続けたい。
これからも子ども達の声から生まれる時間や空間を
そっと、ていねいに育てていきます。
